alisatoの日記

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読了本

花井 愛子『ときめきイチゴ時代 ティーンズハートの1987-1997』
久美沙織『コバルト風雲録』と読み比べると、両者のスタンスの違いが見えて大変に興味深い。
自分を中心に語る久美沙織と仕事の手法を語る花井愛子。ペンネームを変えればという提案を頑として拒む久美と、一世を風靡した「花井愛子」のペンネームをあっさり捨て去ろうとする花井愛子。

あの独特の文体は、実は校正室の検閲をかいくぐるために生まれたのだそうだ。
漫画家を起用した表紙イラストの意図、ブックデザインについてなど、現在のライトノベルのパッケージに繋がる話も面白い。

巻末には著作一覧もついて資料的な価値もある。メディアにも多く登場した人なのに、こういう基礎的なデータはネットでも見つからないのだ。

毛利志生子風の王国 月神の爪』
リジムの友人のバカ息子のおかげで翠蘭や周囲の人間が酷い目に合う話なのだが、翠蘭の受難よりリジムの父親の存在感のほうが気になる。この作者は本当は歴史ロマンスじゃなくてただの歴史小説を書きたいんだろうなという気がする。