十代はじめの読者に向けて書かれた、「みなさんでそれぞれ、正しい敬語の使い方を考えてください」という本。
語りかけるような丁寧語で書かれているんですが、なぜその文体を使っているのかも、最終章でわかる仕組み。
大変に納得のいく本でした。
私は他人の言葉使いに目くじらを立てる人間が好きじゃありません。まあ、自分の使い方と違う使い方に対して違和感を表明するぐらいならいいんだけど、「こんな使い方をする人間はレベルが低い」とまでいっちゃう人を見ると、「ああこの人は常に自分以外の人を見下したい人なんだな」と思ったりします。そういう人に限って妙な言葉の使い方をしたりしますけどね。ワタクシはそれを意地悪く眺めていたりするわけですが。
そういう人が、この本を読んだら肩透かしを食らうことでしょうね。だってそいういう人が大好きな(藁)「正しい敬語の使い方」が書いてあると思ったら、そうじゃないんですもの。
(なんせ、橋本治ですから〜)
>敬語というのは「人と人とのあいだにある距離」を前提にして使われる言葉なのです。(p.25)
>「正しく使いすぎると時代劇になる。だから、いいかげんにテキトーに使え」というのが現代の敬語なんです。(p.39)
>現代で敬語が必要なのは「目上の人をちゃんと尊敬するため」ではありません。「人と人との間にある距離をちゃんと確認して、人間関係をきちんと動かすため」です。(p.85)
>「えらいか、えらくないか」しか考えなかった日本人は、「自分のことしか」考えられない。(p.93)
>あなたが敬語を知らなくて、タメ口しか使えなかったら、あなたは知らないあいだに「他人を無視してひとりごとを言っているだけの人」になってしまうのです。(p.117)