alisatoの日記

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毛利志生子『遺産 Estate left』

毛利志生子『遺産 Estate left』イラスト:綾坂璃緒
集英社 コバルト文庫 ,2003年4月,560円 (税込), ISBN4-08-600246-9)読了。

高校三年生の暮林小鳥は母親と二人暮らし。だが、母の再婚が決まった直後、母が自宅で凍死してしまう。呆然とする小鳥のもとに、カナダ人の青年カイルが現れた。十八年前に死んだはずの父親が、実は先日まで生きていたというのだ。一カ月前に死んだ父はカナダで恐竜の化石を発掘しており、小鳥に数億の価値の化石を残していったという。戸惑う小鳥だが、その直後何者かに命を狙われて…。

一応ちゃんとしたミステリーで、怪しい人がいっぱい出てきて犯人当てもできるようになっているのですが、どうやって話を組み立てているかという手つきが透けて見えてしまって、イマイチ。
たとえば、洋館の改築が必要だから、小鳥の幼馴染は工務店の息子。怪しい人物を怪しく見せねばいけないから、その人物の過去を知る子供が唐突に現れるといった具合。

そういう登場人物がプロットに奉仕する話というのは、思春期小説としてのライトノベルとは相容れないものがあると思う。