alisatoの日記

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少女漫画におけるジャンル・ファンタジー

石堂藍さんの日記のコメント欄に書いたものですが、ひと様の日記だとあとで見失うので、こっちに転記。

2012-02-07 - 萩の塵拾い
http://d.hatena.ne.jp/piedra/20120207#c

alisato 2012/02/09 16:09
漫画では、ドラクエ以前に少年漫画系ではジャンルとしてのファンタジーは存在しないので、対象は少女漫画のみになりますね。
指輪物語文庫化開始された1977年に坂田靖子「おばけ地帯」、中山星香「はい!どうぞ」山岸凉子「妖精王」が掲載されていて、このあたりでマニアな読者にはジャンルとしてのファンタジーは認識されたと思います。
ただし少女漫画ではすごーくニッチなジャンル。
それ以前はSFとSFファンタジーと怪奇ロマンしかなかった気がします。
ポーの一族」は怪奇ロマンと銘打たれてました。(「一週間」の予告カットにそう書かれていた)
花郁悠紀子のデビュー作「アナスタシアとすてきなおとなり」が1976年だから、このへんで「ファンタジー」という言葉は出てきたかな?
メルヘンとファンタジーがごっちゃにされていたこともあるので、そこらへんは調査しないと。

alisato 2012/02/09 16:25
1966年の谷口ひとみ「エリノア」はメルヘン扱いのようです。
1977年の阿保美代はファンタジックメルヘン扱い。
米沢嘉博さんの『戦後少女漫画史』初版1980年には「夢と知りせば――ファンタジーの展開!」という項目があって「ファンタジー(妖精世界)」という扱いで、ファンタジー系作品が挙げられています。

alisato 2012/02/09 16:30
高階良子「はるかなるレムリアより」1975年『なかよし』連載、曽祢まさこ「海にしずんだ伝説」1976年『なかよし増刊号』掲載なので、少女漫画には1976年ごろにはファンタジーっぽい波が来ていたようです。
ただし「ファンタジー」という用語は使われず、コミックスの作品紹介では、「少女まんがでは、はじめてともいえるユニークな幻想物語」と書かれています。


どうも1975年あたりに少女漫画にファンタジーっぽいブームが起こった印象。
24年組からの流れだと思うんですが、どうもはっきりしない。

『あなたのファンタジィ』って、いつでしたっけ?

ところで高階良子「はるかなるレムリアより」って夫の本なんです。なんでこんなもん持ってるんだよ!? って思うんですけど、どうも大学漫研のときに買ったらしい。
なんかしらんけど、池田理代子の画集ももってたんですぜ。
……少女マンガ描いてたん?(教えてくれないんですのよ)

●Alisato 2012年02月09日 16:42
「あなたのファンタジィ」 1977年~ですね。
http://www.geocities.jp/grapefishmiomama/AnatanoFatasy/anatanofantasy_main.htm

こーれかー!!
仕掛け人は寺山修司

ぴえどら 2012年02月09日 16:53
リボンの騎士、銀の花びらの頃は、ファンタジーとは呼ばれていないということで確定でしょうか。

「詩とメルヘン」のような雑誌で、ファンタジーってどういう意味で使われていたか……覚えていない。
77年頃なら、ローラリアスの人たちが、当時の「ファンタジー」という言葉の浸透具合がかわかるのでは。

メーテル 2012年02月09日 17:14
「銀のたてごと」や「火の鳥 少女クラブ編」は何と呼ばれていたのですか?

●Alisato 2012年02月09日 17:55
>「銀のたてごと」や「火の鳥 少女クラブ編」は何と呼ばれていたのですか?

あれが当時なんと呼ばれていたのかは、調査が必要ですね。
私には記憶がないから当時なんと呼ばれてたのかは掲載雑誌を調べないと分からないのです。
でも子供向けなので「ファンタジー」という言い方はしてない気がするんですよね。

●Alisato 2012年02月09日 18:03
あー、水野英子『星のファンタジー』っていうコミックスがあった!
昭和43年(1968)8月20日初版
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-02-06

古いのはどっかに調査を投げたほうがいいかも。
読み手の側にジャンルの意識はなかったはずなので、雑誌が作品をどう形容ていたかですよね。

でも怪奇マンガでも「こわいまんが」の時代だからなぁ……。

石森章太郎の「ジュン」って初出から「ファンタジーワールド」ってついてたんですかね。
1967年。『COM』かー。
あー、『COM』は、「ファンタジー」って使いそうですね。


●ぴえどら 2012年02月09日 19:03
>古いのはどっかに調査を投げたほうがいいかも。
 まさに。少し自分でも調査しないとあかんなと思います。すぐには無理だけど。

>「ジュン」
 初出は記憶にないけど……ともかくファンタジーワールドなんですよね、だから形容詞扱いなんじゃないかと思うんですね。ファンタジック、幻想的という意味。

>『COM』は、「ファンタジー」って使いそうですね。
 ですね。ファンタジーがよく書かれていたことは確かです。その意味では、「メルヘン」という言葉が使われていたんじゃないかという気もするんですけど、記憶が曖昧。
 一方、メルヘンの世界、というとファンタジックという意味にもなった。

 それで、表にも書きましたけど、使い分けに敏感だったのは、児童文学じゃないかという気がします。
 このあたりは、少しはっきりさせておいた方がよさげですね。

メーテル 2012年02月09日 20:02
サンリオのリリカ増刊「ジュン」は「メルヘン寓話」と銘打たれてますねー。
初期作品の「青い月の夜」も、単行本ではメルヘンと紹介されてます。

「銀のたてごと」って、「星のたてごと」でしたね。すいません。「銀のはなびら」とごっちゃになってました。

●Alisato 2012年02月09日 21:20
メーテルさん、情報ありがとうござます。。
サンリオのリリカ増刊「ジュン」 まとまったのは1979年かな。

「青い月の夜」単行本はこれでしょうか。1969年
http://blog.goo.ne.jp/my-yoshimura/e/0750d1748084a57a9ad0e6cf3a9e546a

出版社的にはメルヘンを使ってるところのほうが多いのかな。

メーテル 2012年02月09日 21:38除
古いジュンはファンタジーワールド、新ジュンはメルヘン。これは逆転現象ですねー。版元がサンリオなのでさもありなん。
自分が持ってる青い月の夜はサンコミックスです。昭和51年発行。
コメント

●Alisato 2012年02月09日 22:04
>自分が持ってる青い月の夜はサンコミックスです。昭和51年発行。
またまた情報ありがとうです。1976年ですね。昭和だと25足せばいいから、すぐ換算さきるけど、平成になると換算面倒。

出版社は売れる文言を付けるのでしょうから、まだファンタジーは一般的じゃなくて、メルヘンのが売れると踏んだんでしょうね。
サンリオはもともと「リリカル」「メルヘン」で売ってる会社ですし。
そういや、映画のユニコとかはどういう風に呼ばれてたんでしょ。
調べよう。

●ひかわ 2012年02月10日 01:57
確かめたわけではないのですけれど、少女漫画では「珠玉のファンタジー」というたたき文句がやたら使われていた覚えがあります。ちょっと不思議な展開だと、いつも「珠玉のファンタジー」。SFでも歴史ロマンでも「珠玉のファンタジー」になっていたので、なんとなくその言葉が目に焼き付いていた感じが……。

メーテル 2012年02月10日 11:53
少女漫画コミュで質問してみました。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=9343953&comment_count=384&comm_id=981759&guid=ON

●めがきら 2012年02月10日 17:05
面白そうなデータ調べやってますね。

起源としてはもっと前の時期になるんでしょうけど、個人的に少女漫画で正統派
ファンタジーのイメージが明確に見えたのはあしべゆうほのクリスタルドラゴンから
でしょうか。悪魔の花嫁ぐらいからその片鱗が見えてたのかな。

あと銀曜日のおとぎ話とか(それは自分が好きなだけ)。


少年漫画は永井豪デビルマンバイオレンスジャックのおかげでファンタジー的な
イメージは駆逐されてしまいましたねえ。 野獣学園(だっけかな正式タイトル失念)
とかファンタジー素材も織り交ぜた面白い作品もあったのになあ。

●Alisato 2012年02月11日 23:31
ひかわさん:
「珠玉のファンタジー」がいつ頃から使われ始めたのか、調べてみたいですね。
同じ担当さんが書いたのか、そういうのが流行りだったのか。

メーテルさん:
わざわざありがとうございます。コミュで、画像を表示して回答してくださる方がいて、おどろきました。
ご自分のサイトで「星のたてごと」のことを書いてらっしゃる方なんですね。
水野英子「星のたてごと」 http://gomi17.web.fc2.com/comicfan/tategoto.html
この当時は、まだ「ファンタジー」という概念そのものがなさそう。

めがきらさん:
クリスタルドラゴンは1981年開始ですね。売れっ子さんだから、自由が利いた面はあると思うんですが、あれが連載できたということは、やっぱり1980年には漫画界では「ファンタジー」の概念が、かなり一般的になってたんでしょうね。

銀曜日のおとぎ話はメルヘン系ですね。1983年

少年漫画にはますむらひろしがいるのを思い出しました。アタゴオル物語が1976。
うーん、やっぱり1976年あたりになんかある。

そういや、デビルマンってジャンルは何になるですかね? 石川賢も。 SF?
「野獣学園」というのは、Vシネマしか出てこないようなので、別のタイトルだと思うんですが、作者は誰ですか?


●ぴえどら 2012年02月12日 08:25
今、とにかくデータ整理中。もちっと待って。
デビルマンまわりはSFとして分類されたんじゃないでしょうか。変身して戦うから。
石川賢も。
年代的にも、作品的にももうちょっと整理がついたら、具体的に雑誌の惹句がどうなっていたか、系統的に調べられるでしょう。


●めがきら2012年02月14日 12:36
実は貸本屋で昔読んだタイトルなので、作者名すらはっきり覚えていないんですよ。<野獣学園
永井豪「イヤハヤ南友」や、さいとう・たかを「バロムワン」などと一緒に並んでいて。
ただ話は凄く面白かった記憶があったんです。

舞台が吹雪に守られた学園で主人公が頭ツルピカの少年。
魔法と科学を駆使する学園の先生達と生徒によるコメディタッチのストーリーで、
ハリーポッターみたいな世界観でした。

で、覚えてて面白かったのが内向的なニキビ眼鏡男子がモテナイ世を儚んで自殺したら
鹿(雪の孤島みたいな背景舞台だったのでカモシカだったかな)と合体手術させられて
動物のフェロモンでモテモテになる話とか。

あー、漫画板とかで聞いてみようかな…

デビルマン石川賢の平行異世界クトゥルフ系はSFホラーのカテゴリでしょうね。
その当時にあった言葉かは分からないんですがコズミックホラーとかそのへんなんでは
ないかと。

アタゴオル!そういえばすっかり忘れておりました…

●Alisato2012年02月14日 14:28 削除
>舞台が吹雪に守られた学園で主人公が頭ツルピカの少年。
>魔法と科学を駆使する学園の先生達と生徒によるコメディタッチのストーリーで、
ハリーポッターみたいな世界観でした。

わー、面白そう。それ読んでみたいです。

メーテル2012年02月14日 15:12 削除
アタゴオルかあ。「マンガ少年」はそれなりにファンタジーっぽいのが掲載されてましたね、高橋葉介とか。「怪奇幻想ロマン」なんて煽りでしたが。