面白かった。ほんとにアニメのモノローグそのままなんだな。
いや逆か、原作のモノローグをそのままアニメにしたんだな。
これ単体で読んだら、それほど感心しなかったかもしれないけれど、
京アニのくるくるよく動くキャラたちのイメージが残っているので、読んでいてたいへん楽しめました。メディア・ミックス万歳。
よくライトノベルの登場人物は「内面を持たない」と評されるけれど、この作品の登場人物の場合は持たないのではなくて「隠蔽されている」というのが正しいんじゃないかと思う。
この作品に地の文がない。全編、語り手であるきょんの饒舌なモノローグだから。語り手以外の人物の心理は語り手を通してしか知ることができないが、語り手のきょんは他人の心理には興味がないらしく、読者に与えられるのは断片的な情報のみだ。ついでにいうとこの語り手は自分の内面すらきちんと語ってはいない。
涼宮ハルヒに内面はある。ありすぎるほどにある。でもそれは外には現れない。というより困った形であらわれるというべきか。
ミステリの手法だなと思う。森博嗣の作品に似ているかもしれない。
アニメのエピソードが妙にシャッフルされているのは、アニメでは登場人物の内面を完全には隠蔽することができないからだろうと思う。