竹内一郎『人は見た目が9割』
(新潮社 新潮新書137 ,2005年10月,714円, 4-10-610137-8)
ノンバーバルコミュニケーション入門といってますが、公式化類型化された非言語的メッセージによる演出入門書ですね。著者は漫画原作者でもあるそうで、漫画の表現の解説が面白かった。いままでの漫画表現の解説は漫画家がやっているのものがほとんどだったから、専門的すぎるところがあったけれど、これは原作者が書いているので、噛み砕かれていて分かりやすい。特にフキダシとネームの大きさ、改行の関係の指摘は興味深い。漫画家は台詞の記述を無意識のうちにやってしまうところがあるので、改めて指摘されるとなるほどと思う。
「見た目9割」とか「言葉の内容は7%しか伝えない」といったいささか根拠の怪しい断定がいくつか出てきますが、そういうハッタリを効かせる演出術のひとつだと思って読んでいればよろしいんじゃないでしょうか。要するにこれは演出についての本です。
内田樹/名越康文『14歳の子を持つ親たちへ』
(新潮社 新潮新書112 ,2005年4月,714円, 4-10-610112-2)
4-10-610112-2
女が嫌いで男が好きな男ふたりが女の悪口をいいつつ馴れ合いながら男の子の教育について対談している本。でも編集者の意図としてはメインターゲットが14歳の子を持つ「母親」なので、内容が微妙にヘンになっている。
内田樹って、「ほも」だったんだね。ホモセクシュアルかどうかは知らないし、多分体育会系的なホモソーシャル社会からは弾き出されるタイプの人だと思うけど、男が好きで女が嫌いな人だったんだ。フェミニズムに対する嫌悪は昔から表明していたけれど、実は女全般が嫌いだったんだ。そんな人がどうして女子大の先生をやっているかというと、先生と生徒の関係というのは性別を問わずセクシュアルなものだから(と、ウチダ先生は自著の中で書かれています)。女嫌いでも、先生と生徒であれば、相手を愛せるんだわさ。
考えてみれば、内田樹は著作の中でずーっとカミングアウトをしてたんですな。
だからどうというわけではないが、内田樹がそういう人だということは、頭のスミに置いておこう。