1コマ目 ライトじゃないファンタジーが好き
神代創さん、五代ゆうさん、妹尾ゆふ子さん、ひかわ玲子さんによるパネルディスカッション。司会は篠崎砂美さん(男性だとは知らなかった)
以下内容のメモ。ただし、パラフレーズやら思い違い等があるはずなので、話半分に読んでください。
始まったとたんに「企画の主旨がいまいち分からなくて。ライトじゃないファンタジーって何?」といいだすパネラー(笑)。そして「企画者の意図はおいといてー、各自のおすすめを紹介しましょう」ということに。
ひかわさんのお勧めはスペンサー『妖精の女王』。登場する女騎士について熱く語るひかわさん。インクリングスにも影響を与えているんです、と熱弁をふるう。読んでみたくなりました。(でも読む暇ないと思う)
ちなみに企画に集まった人は濃ゆいファンタジストが多くて『指輪物語』(LotR)、ゲド、ナルニアの既読率は9割ぐらい。マキリップの『妖女サイベル』になると6割ぐらい。
神代創さんのお薦めはファファード&グレイ・マウザー。「あれってキャラクター小説でもありますよね」とツッコミをいれる五代さん。前期の作品は怪奇色がつよいけれど、後期になるとお笑い度が上がるとか。
このあたりで宗教の話に。欧米はキリスト教の締め付けが厳しいからこそ、そこから自由になるためにファンタジーの世界を作り上げる必要があったのではないかという話。
日本には、そういう宗教的な象徴はたくさんあるけれど、精神的な締め付けはそれほどない、とか。
ファンタジーとは象徴であるというのが、ひかわさんの持論らしい。
ライトなファンタジー、ゲームっぽいファンタジーの話から
「”ファンタジーはなんでもあり”じゃないですよ」と五代さん。ゴブリンを出すにはゴブリンを出す必然性があるべきだと。
妹尾ゆふ子さんのお薦めは、マキリップ『影のオンブリア』、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(DWJ)の〈デイルマーク王国年代記〉、ロビン・ホブの〈ファーシーアの一族〉。ところが読んでいる人がほとんどいなくて(私もよんでいません。すみません「お友達」になれなくて……)「みんなー、最近のファンタジーも読もうよー」
と叫ぶ妹尾さん。
「でもDWJってキャラクターが譲り合わないから苦手」とひかわさん。
で、DWJはファンタジー版橋田壽賀子という結論になりました。(今回の企画で一番のヒット発言)
「日本のファンタジーがライトだっていうけど、海外ファンタジーだってライトだ」とひかわさん。
原因は世界大戦がないせいだろう、LotRの底にはトールキンの二回の従軍経験があるし、ゴーメンガーストにはピークの幼年時代の体験(太平天国の乱に巻きこまれたらしい)が反映されているんじゃないか、などなど。
五代さんのお薦めはバーカーの『アバラット』。「へんなキャラクターばっかり出てくる話なんですよー」で、その中の1シーン(何もない平原に海が押し寄せる)を説明して「これがわたしにとってのファンタジーです」
それから爆弾発言がひとつ。「デビュー作はもともとSFのつもりでした」ええええーーー!?
というあたりで時間がきたので、パネラーの今後の出版予定を紹介してお開き。
しゃべるしゃべるひかわさん、鋭いツッコミをいれつつまとめようとする妹尾さん、わが道をゆく五代さん、自分の担当はヒロイックファンタジーだしなぁという感じで口をださない神代さん(「正確には口を出そうと思っても、ひかわさんの勢いに呑まれていただけで(^_^;) なんどか突っ込もうとしたのですが、失敗しました」だそうです)、ほうっておいても勝手にしゃべるからいいかという感じの司会の篠崎さんでした。
楽しかったです、和気あいあいとしててアツくて。