山形 石雄『戦う司書と雷の愚者』
司書側を狂言回しにしつつ、メインは暗殺者側の過去にあるというのは前作と同じ。雷を操る「怪物」と、暗殺者の過去話がどのようにリンクするかの興味で先を読ませるのも前作と同じ。
人が死ぬと「本」になるという世界の設定は面白いのにあまり上手く生かせてないかな。もったいない。
特殊能力者がぼこぼこ出てくる話だと上遠野浩平とカブっちゃうんだよねぇ。もう一皮剥けると、凄い作家になりそうですが。
飛浩隆『ラギッド・ガール』
『グラン・ヴァカンス』がこういう風に広がっていくんだねぇ。
まだ3冊しか本を出していない人だというのが信じられないような。あっという間に日本SF大賞も獲っちゃったし。
あ、でも『グラン・ヴァカンス』って2002年なのか。もう4年も経ってしまったのね。
この作家らしく雑誌掲載時の原稿にすさまじく手を入れてあります。「象られた力」ほどじゃないけれど、「クローゼット」なんてラストが全然違う。
1冊読み終わってから各作品を再読すると、また違った絵が見えてきそう。『グラン・ヴァカンス』も再読しようかな。