alisatoの日記

Twitterログなどを格納しておくところ

青池保子『『エロイカより愛をこめて』の創りかた』

青池保子『『エロイカより愛をこめて』の創りかた』
(マガジンハウス ,2005年2月,1575円 (税込), ISBN4-8387-1563-3)

青池保子が『エロイカより愛をこめて』のキャラクターや漫画の作り方を語ったエッセイ集。
エロイカより愛をこめて』は、エーベルバッハ少佐が初登場した頃からリアルタイムで読んでいたので、懐かしかった。
『プリンセス』に移る前の作品も読んでいる。今でも忘れられないのは、プレイボーイが田舎出の純情少女に本気になる話。ラストは、星を見るために雨雲とおっかけっこするんです。カラーページがついていたから、まだ干されはじめる前の作品だとおもうんだけどね。

番外編のドイツ軍の雑誌に乗ったエロイカの記事の話も興味深い。
それから、書き忘れてたけど、知人の名前が出てくるのである。がんばっているんですなー。

『アルカサル』の頃から漫画自体をよまなくなっちゃたんだよな。
『Z』の完結編は『エロイカより愛をこめて』30巻に載っているのか。

長期にわたる連載やシリーズ物は、作者が登場人物にのめりこむあまり内容がぐだぐたになることが多いんだけれども、
青池保子はキャラクターを愛してはいても淫してはいなくて、かなり冷静に描いているんだなということが分かる。ある意味ストイック。
登場人物(特に主役級の人たち)の行動原理に良く似ているなと思う。正確には逆か。こういう人が描くからこそ、ああいうキャラクターが生まれてくるわけだ。

名前は出てこないが、2回ほど萩尾望都のことではないかと思われるエピソードが出てくる。(p.125、p.204)
青池保子萩尾望都は、あまり共通点がないようにみえるが、同世代だしストーリーテラーの部分や職人気質の部分が似ているのかなと思う。
実はこのエッセイ集を読みながら私が思い浮かべたのは、萩尾望都のエッセイ集だった。形式も語り口もどこか似ている。もっとも萩尾望都はあまり自作のキャラクターについて語ったりはしないけれど。