久世 番子『暴れん坊本屋さん 1』
すがやみつる/横山えいじ『マンガでわかる小説入門』
小説の書き方よりより小説家の厳しい現実がわかるという点でおすすめ。
沖原 朋美『黄金(きん)を奏でる朝に セレナーデ』
コバルト色に染められてしまいました。残念。
空谷 あかり『ことりたちのものがたり』
『観用少女』のプランツ・ドールを「小鳥+愛玩犬/2」にしたような連作短編集。もともとは同人誌で、イベントでの持ち込み原稿だったそうな。『キノの旅』以降、こういう傾向の作品の需要が発見されて、商業作品として出版されるようになったのだな。まあ、悪いことではないと思うけれど。
「交配」の話も出てきて、『観用少女』の作者が全身全霊をもって隠しとおそうとした性的な側面があっさりと顕わになるのだが、中途半端にあっけらかんとした作者の視点が、読んでいてなんとも居心地が悪い。「人間の尊厳」の問題にもつながる、もしかしたら誰かを傷つけるかもしれない、そういう倫理的に危険なモチーフなのに、そのことに気づいていないのか、あるいは気づいていても考えないようにしているのか。どちれにしても商業作家を続けていくつもりなら、スタンスとしてはマズイんじゃないのと思う。