alisatoの日記

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木原音瀬『B.L.T』

木原音瀬『B.L.T』イラスト:稲荷家房之介
ビブロス Be boy novels ,2002年2月,893円 (税込), ISBN4-8352-1304-1)

これは面白かった。みのうらさん、感謝!

地味でまじめなサラリーマン(でもゲイ)の大宮雄介は、電車の中でみかけた中学生北澤眞人に恋をして痴漢行為をはたらいてしまい、それをネタに眞人に強請られ(?)振り回され、結局職も失ってしまう。5年後ふたりは再会し……。

出会いからしてずいぶんな話なんですが、再会してくっついた後でもなんと大宮の同棲相手(もちろん男)とのドロドロの修羅場なんぞがありまして、ほんとずいぶんな話だよなと思うですが、案外あっさりと切ない恋愛物語として読めてしまいました。

同じストーリーを男女でやられたら、冒頭で投げ出しちゃうところですが。だって女子中学生に痴漢行為をするストーカーサラリーマンとそいつを強請る女子中学生なんて、イヤすぎ。(現実にありそうな話ではありますが) とてもじゃないけど、恋愛物として楽しめませんって。それが登場人物の性別が変わったとたんに、回路が切り替わったみたいに、ある種の「ファンタジー」(このファンタジーは「現実にはありえねー話」の意味)として楽しく読めてしまったのですから、不思議。これぞ、やおいマジック。

やおい」というのは、心理障壁を乗り越えさせるための装置なんだなと思いました。

大宮の悶々ぶりは読んでいて大変に楽しかったです。