畠中恵『ぬしさまへ』
(新潮社 新潮文庫 ,2005年12月,500円, ISBN4-10-146122-8)
体の弱い大店の若旦那とその守役の妖怪たちの物語。
前作はミステリー風味でしたが、今度は人情話のほうに傾いています。だんだん妖怪や若旦那のキャラが立ってきて良い感じになってきました。
一番良かったのは、若旦那の友人で菓子屋の息子なのに不味い菓子しか作れない栄吉が犯人の濡れ衣をきせられる「栄吉の菓子」。最後の切ない考察は、身体が弱くて他人と会うこともままならない若旦那だからこそ出てきたといえましょうね。
すでにシリーズが4冊出ているそうですが、ハードカバーは買えないので、図書館でリクエストしますかね。
『文学賞メッタ斬り!リターンズ』
島田雅彦すげー! の一言につきるような。
だってあのトヨザキ社長の影が薄くなるほどのはっちゃけた発言の数々……。ROUND1だけでもお値段分の価値はあるかと。
今回偉いのは、「索引」がついていることです。「索引」!
作るの大変なんですよ。あれば便利だけれど、すさまじく手間がかかる割に地味で目立たなくて、なくても売上は変わらない(多分)から時間の制約やらなにやらでついていない本が多い。
わざわざ索引をつけるのは,作り手のコダワリというものでしょう。称えてあげてください。編集さん偉い!
ネットで読んだ部分も多いはずですが、ほとんど忘れているので、新鮮に楽しく読めました。
いまいち評判のよろしくないROUND5ですが、覚悟を決めて読んだら、別にそんなにつまらなくもなかったです。サッカー見ないので意味がよく分からなかったですが。ってゆーか勝敗の基準がよくわかんなかった。真剣味も足りなかったし。
二人で半分づつ作品を分けて、対決する方式にすりゃよかったんじゃないでしょうか。全部トヨザキ社長のゴネ勝ちになるかもしれないけど